甲子園という議論

野球全般

仙台育英高校が東北勢悲願の初優勝!
で幕を閉じた今年の
「第104回全国高等学校野球選手権大会」

開催されるたびにいろいろと議論が巻き起こります。

球数制限
日程
一般の観客の場所取り
コロナ関連
などなど枚挙にいとまがありません。

今回はそんな「夏の甲子園」ではなく
「春の甲子園」について書いていきたいと思います。

今年の「春」の大会は
例の「聖隷クリストファー」の選考のことで話題になりました。

毎日新聞社・日本高等学校野球連盟主催
第94回選抜高等学校野球大会ですね。

文字通り主催者が「選抜」して出場校を決定するという
ちょっと変わった?仕組みをとっています。
それが元で聖隷のようなとても辛いめにあう高校が出てきてしまいました。

さてまたまた話が戻ってこの「夏」
優勝した仙台育英高校が2回戦に勝利した日
ウチの長男達は
「秋季大会」の地区予選に挑んでいました。

不思議ですよね。
7月末まで共に予選を戦っていた県代表チームは
まだ甲子園で奮闘中
しかしその他のチームは
「新チーム」が結成され
お盆の時期には「秋季大会」が始まるのです。

長男達のチームは7月初旬に敗退していたので
新チームとしては1ヶ月以上の準備期間がありました。
しかし、勝ち上がっていたチームは
そういうわけにはいきません。

おそらく2週間程度の準備期間で試合に臨むことになります。
もちろん強いチームは
そこまで見越して準備していることでしょう。

ちなみにちょうどこの記事を書き始めた
本日(9月5日)現在
いくつかの都道府県で「秋季県大会」の組み合わせも決まっています。

その中の1つ静岡県は
夏の甲子園に出場し開幕ゲームで敗退した日大三島高校と
東部・中部・西部の3エリアから予選を勝ち抜いた12チームずつ
計37チームで県大会が実施されます。
そして上位3校が東海大会に出場し
さらにそこで優勝すると「来春の選抜」にきっと出場できて
準優勝でもほとんどの場合出場できることになります。
「個の力」に優っている場合は
ひょっとしたらベスト4でも出場できる可能性がなくもない!
ということです。

こんなややこしく書かなきゃいけないくらい
イレギュラーな選考だったということですね。

日大三島高校は8月6日に敗退していますが
地区予選は免除されているので
県大会からの出場
新チームの活動期間はほぼ1ヶ月ということになります。

こうしていわゆる「秋」っぽい季節に
大会を実施するために
地区予選を夏真っ盛りの頃から始めています。

各都道府県大会の上位校は
それぞれさらに上位の大会に進出し試合をします。
静岡は東海大会に進出し
「2」校の枠に入れば甲子園出場となります。

野球の名門校はこの「枠」を目指して
しのぎを削るわけです!

しかしほとんどの場合
やはり「私立高校」が有利となってきます。
ごく一部の都道府県を除いて
「公立高校」が勝ち上がるのは至難の業です。

静岡県は「静岡高校」が強いです。
他にも静岡商業、静岡市立も夏の甲子園出場経験があります。
さらに東部では韮山、市立沼津、富士
西部では浜松商業、浜松工業、掛川西など
公立高校でも勝ち上がれています。(他にもありますが割愛しています)

静岡県には「裁量枠」という独自の高校入試システムがあり
学校の裁量によって10名程度の合格者をだせます。
静高はこの枠を「野球」に全振りしています!(たぶん…)
だから強いのです!は言い過ぎですが
この10名程度が核となることは間違いありません。

静高は中部地区屈指の偏差値を持っています。
野球も勉強もどっちも頑張る子達には
こんな良い学校はありません。
一般入部でも甲子園出場できます!

サッカーで藤枝東が強いのも同様の理由です。
コチラも静高に負けず劣らずの偏差値です。
サッカーで言うと清水桜が丘(旧:清水商業)は商業科なので
普通科よりはさらに多くの推薦合格者が出せるでしょう。

そして静岡学園
この学校はちょっと変わっていて
2019年の選手権優勝の前まで
わりと長い間サッカー部は低迷していました。
もちろんある一定の水準を保った上で、ですけど。

1つの要因は学校の方針で
勉強の方へシフトしたからといわれています。
昔あった「商業科」がなくなり
成績は悪いけどサッカーは上手いゼ!って選手が
入れない学校になりました。
なのでお父さんは静学サッカー部OBなのに
息子は他の高校なんて子もしばしばみられます。

静学みたいな私立高校は増えている印象です。
例えば、愛知の名門
中京大中京もまさにそうです!

むか~し昔は「頭が筋肉」でも入れるなんて揶揄されていましたが
現在ではとてもではないですがそんな生徒は入れません!
通知表の成績でオール4くらいが必要です。
本当にごく一部の生徒だけ、しかも特定の部活に限り
それを下回っても入学できますが、「頭が筋肉」ではノーチャンスです!

話しを戻して
「甲子園に出場する」それも公立高校で
となると愛知県では相当厳しい道のりです。

「甲子園への道 in愛知」は夏が

  • 予選を突破する(当たり前)
  • 記念大会は2地区になるので2校

夏は予選を勝ち抜く以外の選択肢はありません。
記念大会になれば今のところ
東愛知と西愛知になっているので
東愛知の公立高校にはチャンスが出てきます!

愛知の私学4強は全て名古屋地区なので西愛知です。
この辺は神奈川とは違いますね。
神奈川は横浜高校と東海大相模が別ブロックになります。

過去の記念大会で東愛知の出場校をみると
80回記念大会では豊田大谷(決勝の相手は大府)
90回記念大会では大府高校(決勝の相手は成章)
100回記念大会では愛産大三河高校(決勝の相手は西尾東)
が出場しています。

この中で大府高校だけが公立高校です。
槙原寛己選手、赤星憲広選手の母校ですね。

ところが決勝の相手校は全て公立高校です。
成章はライアン小川選手、西尾東は岩瀬仁紀選手の母校

つまり記念大会の東愛知に限っては公立高校にチャンスが出てきます!
ちなみに西愛知は順当に?
80回愛工大名電
90回東邦
100回愛工大名電
となっています。

では春はどうか?
春は「選んでもらう」しかありません。

ちょうど愛知県も秋季県大会の組み合わせが発表されました。
甲子園出場の愛工大名電は名古屋地区の1次予選免除で
2次予選からの登場です。
当たり前のように2次予選も決勝まで進み県大会のシード獲得です!(笑)

県大会は50校(名古屋18、東三河6、西三河11、知多5、尾張10)
が出場し3位までに入れば東海大会です。
その東海大会については前述のとおりです。

さてこの50校の中に
公立高校は何校入っているのでしょうか?
成章、刈谷、安城南、名市工業、東浦、横須賀、愛知総合工科、尾北、名古屋南
三好、半田、大府、西春、渥美農、国府、明和、西尾、安城、豊田工科、西尾東
小牧工科、犬山
以上22校です。

約半数が公立高校ですから
可能性が無いわけではなさそうに見えます。

が、しかし
愛知は私学4強が突出して強く
さらにセカンド私学と呼ばれる
私学4強を追う高校も相当強いです。

私学4強の下に壁があり
セカンド私学が。
さらにそこに壁があり
サード私学(でいいのか?)と公立高校の強豪校
といったイメージでしょうか。

今回のトーナメント表を見ると
普通、順当にいけば
Aブロックは至学館、Bブロックは中京、Cブロックは名電
そして激戦のDブロックは…
東邦、享栄、愛知啓成、豊川のどこか(笑)
公立高校の入る隙が本当に狭い(限りなく無いに近い)

いよいよ本題(笑)
春の選抜ではたびたび議論になる
「21世紀枠」
かつて開星高校(島根)の野々村先生が
「末代までの恥、腹を切りたい」と発言したことが問題になりました。

でも開星高校から、いや野々村先生からすれば
21世紀枠の公立高校に負けるわけにはいかなかったことでしょう。
(発言が許されるとは思いませんが…)

やはり21世紀枠の高校が
それぞれの地区を勝ち抜いて選抜された高校と対戦すれば
そりゃ苦戦するでしょう。

だからこそ21世紀枠いるの?
という議論になるのです。
例えば根尾選手のいた大阪桐蔭と21世紀枠の県立伊万里高校(佐賀)が
戦った試合は14-2です。
「伊万里の選手かわいそう」とか言う人もいらっしゃいます。
見方を変えればそうでしょう。
でも、本人達はきっと
「恥ずかしい」とも「辛い」とも思っていないと思うんです。

だって甲子園の舞台に立ち
日本で最高峰のチームと試合できるんですから。

ウチの長男はごく普通の公立高校へ進学しました。
地区予選でコールド負けするような
普通の公立高校です。

今、彼らの目標は
秋季県大会に出場し
何とか1つ2つ勝って
「21世紀枠に選んでもらう!」
です。

いわゆる普通の公立高校にとっては
21世紀枠の存在は大きいものです。

夏の予選では
「目指せ!甲子園」と言ったところで
単なるお題目にすぎませんが
県大会でベスト16とかくらいなら
可能性ありそうですよね。

そういう意味で
ボクは割と21世紀枠は肯定派です。
ただ、対戦相手を考えるとか
出場チーム数を考える必要はありそうです。

様々な課題がありながらも
国民のソコソコ多くの人を巻き込むくらい魅力のある
「高校野球」

どうしても利権が絡むので
改善されるべきなのに改善されない問題もありますが
少しずつ変わっていく時期なのかもしれません。

主役である高校生にとって
1番良いカタチに変化していってもらえるといいなぁ
と思います。

コメント